ついさっきまで、あんなにも降っていた雨
がやんで、急にひっそりとした空を見上げた
ら、太陽にキラキラ輝いて、大きな虹がかか
っていました。

 お元気ですか?やまがたすみこデス。早い
もので、スミがデビューしてから、もう1年
半とちょっとたっているんですねェ。一日一
日が、それこそ風のように過ぎてしまって、
なんだか信じられないくらいです。学校をや
めてから、増々忙しくなった毎日の中で、ス
ミは自分を見失いかけていました。そんなと
き、雨あがりの空に輝いている虹を見たんで
す。胸がきゅーんとあつくなり、涙がぽろぽ
ろこぼれました。そして詩ができたんです。
ちっちゃな子供が、水たまりの中を、ばしゃ
ばしゃと走り回りながら、こらえきれないよ
うな笑い声をたてて、それが虹の上をころこ
ろころがっているような、そんな光景を、ひ
とりで窓辺にもたれて見ている、といった感
じの詩です。ひとつの詩にいろんな曲がつい
たら、楽しいだろうなあ、と思って、会う人
ごとに詩を見せては、曲付けて下さい、とた
のんでいました。それに、スミが所属してい
る事務所の壁に「誰かに曲をつけてほしい詩」
と書いてはっておきました。もちろん、スミ
もあれこれ書いてみましたヨ。そして、やっ
と出来上がった、とその頃、事務所の壁を見
て作ってくれた人がいました。あなたも知っ
ているかもしれませんね。有名な?所太郎さ
んです。このアルバムを作ったとき、音楽的
なことで、いろいろお世話になった方です。
スミの作ったのとは全く違っていたんだけれ
ど、ああ、こんなムードのもステキだなあ、
とスミは大感激。ちょうどその時、4枚目
のアルバムを作る話があったので、「それ
なら、この二曲をアルバムの最初と最後にい
れて、虹のような夢のあることをやりたいな。
そうだ、スミが今まで歌ってなかったような
歌も何曲かいれてみよう。」・・・・・そうなんで
す。3枚目までは、どちらかというとスミら
しい、一つの色でまとめてあったのですが、
今度はもっと、他の色も歌ってみたんですよ。
最近は、できるだけいろんなレコードを聞く
ように心がけていて、中でもウエストコース
ト系のものに興味を持ったせいかしら、今ま
でとちょっと違ったことをしてみたくなった
んです。軽いロックンロールっぽいものもあ

れば、1930年代風の曲、それから、少し前に
はやっていたカレッジフォーク・・・・・・。
 ホントにやりたいほうだいやらせてもらっ
ちゃいました。よく、雑誌、その他のインタ
ビューで、「やまがたさんとしては、これか
らどう歌を歌って行くつもりですか。」とい
う、質問をされるんだけど、スミとしては、
とっても困ってしまうんです。だって、自分
でも、まだどういう方向に進もうか、わから
ないんだもの。でも、今まで作ったものをふ
り返ってみると、そのとき、そのときの、ス
ミの生活が、はっきり思い出せるんです。日
記帳を読むよりも、ずっと自分がでてるよう
です。今のところ、特に音楽的なことで、ま
わりのものにすごく影響受けやすいのだけど、
あっちにころんだり、こっちにころんだり、
つまづいたり、立ち止まったり、そのままを
歌って行きたいと思います。きっと、その中
から自分が見つかるんじゃないかな。スミが
感じたこと、スミがあこがれたこと、誰かに
恋したこと、とにかく、自分にうそをつかな
いで生きて行く、その過程を歌って行くつも
りです。自分でも思うのだけれど、とっても中
途半端な年頃なんですよね、今は。でも、そ
の中途半端なりのものを、精一杯歌いますよ。
虹のようにもろいものだけど、すぐに消えて
しまうものだけど、消えないうちにレコード
にしちゃいました。とにかく聞いてみて下さ
い。初めは「これがホントにやまがたすみこ
?」なんて、とまどうようなものもあるけれ
ど、何度か聞いているうちに、きっとあなた
にもわかってもらえると思います。
 うっかりすると、自分を見失いそうな世の
中だけど、幼かった頃のように、何かを感じ
る心は、いつも忘れてはいけないと思います。
ほんの小さな事に感激して泣いたり、ささい
なことで腹を立てたり、とっても大切なこと
だと思います。スミの歌も、ほんの小さなも
のだけれど、あの素晴らしい虹のように、あ
なたの心のどこかに、しまっておいてもらえ
たら、最高にしあわせデス。
スミは文章を書くのがにがてなので、困っ
てしまったのですが、あなたのために、はず
かしながら書かせていただきました。最後ま
で読んでくださってありがとう。では、どう
ぞくつろいだ気分で、スミの虹を聞いて下さ
い。さようなら。       Fromすみこ

 

 

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